COLUMNお役立ち介護コラム

2024.08.16 更新

無意識に高齢者を差別している?介護現場で見られるエイジズム事例と対策

皆様こんにちは。福祉のキャリアカレッジです。これから高齢者と向き合うことになる皆様、「エイジズム」という言葉をご存じですか? 年齢を理由とした固定概念や偏見のことです。エイジズムは時によって差別や人権侵害につながります。自分が知らず知らずのうちに差別や人権侵害をしてしまわないように、介護現場で起こり得るエイジズムの事例や対策について理解しておきましょう。

2種類のエイジズム

エイジズムとは、「高齢者」「若者」など、年齢に基づく枠に当てはめ、「○○だから××」のように決めつける考え方です。1969年にアメリカの医学者ロバート・ニール・バトラーが提唱しました。エイジズムには、年齢を理由に優遇される「肯定的エイジズム」と年齢を理由に差別される「否定的エイジズム」があります。高齢者に対する医療費や交通機関の割引、敬老の日のお祝いなどは肯定的エイジズム、定年制度や運転免許の返納、賃貸住宅の入居拒否などは否定的エイジズムの一例です。

 

エイジズムが起こる原因は?

エイジズムは、社会的な価値観や固定概念、無意識の偏見などによって起こります。たとえば、若さ=美という価値観や、老いはネガティブなものという決めつけが社会的な価値観である場合、無意識に「年だから仕方がない」といった考え方になりがちです。「高齢者が好きなものは野球と相撲。サッカーは嫌い」「高齢者が聞く音楽は演歌」「高齢者は新しいことには挑戦しない」「高齢者は頑固で融通が利かない」などと思い込んでいるのも、無意識の偏見だといえます。

介護現場でのエイジズム

エイジズムは誰もが持ち得るもので、しかも自分がエイジズムを持っていることに気付いていないことがほとんどです。介護現場では、高齢者本人がエイジズムを持っている場合と、家族や介護職員など周りの人がエイジズムを持っている場合があります。

 

高齢者本人がエイジズムを持っているというと、「まさか」と思う人もいるかもしれません。しかし、「年を取るとできないことが増える」「年を取ったら理解力が低下する」といった社会的評価を当然と考えていた人は、自分が年を重ねて高齢者になったときも老いを同じように捉えます。自分自身の老いをネガティブに捉えるため、積極的に行動できなくなったり、生きる気力を失ったりするのです。

 

一方、家族や介護職員など周りの人が無意識のエイジズムでしてしまいがちな言動としては、赤ちゃん言葉で対応したり、子供のように扱ったりすることが挙げられます。行動が遅くなったり、食べ物をこぼしたりするので、世話をする側としては、小さな子供と同じと感じるのかもしれません。トイレで排泄できず、オムツの交換が必要になったら、それこそ赤ちゃんと同じと思ってしまうこともあるでしょう。

 

しかし、高齢者はこれまでいろいろなことを経験してきた大人です。いろいろなことを忘れてしまったり、思ったことを伝えられなくなったりしていても、一人前の大人とし生きてきたプライドがあります。子供や赤ちゃんのように見えても、子供扱いされたり赤ちゃん言葉で話しかけられたりすると、それまでの人生経験を否定されたような気持になってしまうでしょう。

介護現場でのエイジズムをなくすためにできることは?

まず、エイジズムとは何なのか、どのようなことが原因になるのかなど、エイジズムについて理解しましょう。それは、介護対象の高齢者のためだけでなく、いずれは年を取る自分のためでもあります。

 

エイジズムをなくすためには、「高齢者だから○○であるはず」などと決めつけないようにすることが大事です。人生100年時代において、高齢者も多様な生き方をしています。介護現場で接する高齢者は介護が必要な人なので、活動的にどこでも1人で行けるというような人ではないかもしれません。それでも、多種多様な考え方の人がいて、興味のあることも人によって違うということを忘れてはいけません。偏見なく向き合うことで、相手を「高齢者」ではなく「○○さん」という個人として捉えられるようになるでしょう。

いかがでしたか。今回は、介護現場でも見られるエイジズムの事例や対策について解説しました。介護現場では、高齢者に対して何か一方的にしてあげるのではなく、できることは自分でしてもらうということも、エイジズムをなくすうえで大事なことです。特に、高齢者自身がエイジズムを持っている場合は、老いをネガティブに捉えないようにしてもらわなければなりません。「自分も役に立つ」「社会に貢献できる」と感じてもらい、生きがいを持ってもらうために、介護職員として何か手助けできたらいいですね。

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