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2024.12.16 更新

大阪市の介護保険料は全国で一番高い!その背景にある問題とは?

皆様こんにちは。福祉のキャリアカレッジです。皆様は、介護保険料の金額が自治体によって違うということはご存じですよね?「日本で最も介護保険料が高いのは大阪市」という報道を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、大阪市の介護保険料がなぜ高いのか、その背景と求められる介護の特徴について解説します。

2024年4月に改定された介護保険料の基準額

全国平均は6225円となり、過去最高額を更新しました。介護保険が始まった2000年の全国平均は2911円だったので、負担が2倍以上になっている状態です。その中で、最も高額だったのは大阪府大阪市の9249円。全国平均を約3000円も上回っています。2位、3位も大阪府の市で、守口市8970円、門真市8749円でした。

 

それに対して、最も安かったのは東京都小笠原村の3374円で、こちらは全国平均を約3000円下回っています。大阪府大阪市と東京都小笠原村の金額差は月額5875円ですから、年額にすると7万500円という大きな差です。なぜ、大阪市民はここまで高額な介護保険料を負担しなければならなくなったのでしょうか。その背景を見てみましょう。

一人暮らしの高齢者が多いことが原因

介護保険の財源は、半分が公費、半分が介護保険料です。公費の部分は、国の税金が25%、都道府県の税金が12.5%、市区町村の税金が12.5%という負担割合になっています。一方、介護保険料の部分は、40歳~64歳までの保険料が27%、65歳以上の保険料が23%という負担割合です。そして、65歳以上の高齢者が支払う部分に関しては、各市町村が3年ごとに見直しをします。

 

その際、考慮されるのが、介護が必要な高齢者の人数と介護サービスを利用する人の数、サービスにかかる総費用の見込み額です。そして、実際に保険料を設定する段階では、所得も大きく関係してきます。大阪市の場合、全国で最も高くなった要因の1つが、独居高齢者の比率が高いということでした。

 

確かに、2020年に行われた国税調査の結果を見ると、65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、一人暮らしの割合は、全国平均が29.6%なのに対して、大阪市は45.0%。大阪市は高齢化率はそこまで高くないのに、一人で暮らしている割合が高いのです。

要介護度が低い段階から介護サービスを利用

大阪市の要介護認定率は、2023年末現在27.4%。大阪府の要介護認定率も23.1%と高く、47都道府県で最高です。なぜ、そのような高い認定率になるのでしょうか。

 

一人暮らしの場合、身の周りの世話をしてくれる人が家にいません。そのため、軽度のうちから要介護認定してもらい、介護サービスを利用せざるを得ないのです。軽度のうちから介護サービスを利用する人が多いため、サービス提供に必要な費用が増え、介護保険料が上がることになります。

 

低所得者の割合が多いことも原因の1つ

大阪市は、世帯全員が市民税非課税となる割合が49.3%と高く、全国平均の約1.5倍です。介護保険料の金額は所得に応じて段階的に変わります。高所得者がより多く払うとしても限度があるため、最低ラインで支払う人が多い大阪市では、最低額の保険料を上げざるを得ないというわけです。

大阪府でニーズが高いサービスは訪問介護

介護給付の状況にも特徴があります。訪問介護を利用する人の割合が全国平均を大きく上回っている一方で、施設サービスの利用者は少ないのです。これは、施設に入所するほど重度ではないけれど、1人で身の周りのことをするのは困難という高齢者が介護サービスを利用するからかもしれません。週に数回自宅まで来てもらい、自分だけではできないことを手伝ってもらうというサービス利用が中心なのだと考えられます。

保険料を下げるためには健康寿命を延ばすことが重要

高齢化率で見ると、関西圏には大阪よりも高い都市はたくさんあります。たとえば、和歌山県橋本市の高齢化率は全国平均よりも高い34.7%です。しかし、要介護認定率は10年前よりも5ポイント近く下がっています。それは、地域住民が主体となり、高齢者が参加する運動教室を作り、参加者を増やしていったからです。

 

この取り組みを始めたのは市ではありません。住民が始めたという点がポイントです。2006年当初、教室は5カ所で参加者もわずかでしたが、口コミで輪が広がり、2024年現在は54カ所になっています。参加者の平均年齢は83.4歳、90歳を超える参加者もいるようです。人と会う機会と身体を動かす機会が増えることが、心身の健康につながっています。

いかがでしたか。介護職員が何でも手を貸してしまうと、サービスを利用する高齢者の要介護度を上げてしまうかもしれません。利用者のためを考えるのであれば、自分でできることはできるだけ自分でやってもらうようにすることも大事です。

 

また、要介護度の低い人には、訪問介護の回数を減らし、デイサービスの利用をすすめてみることも必要でしょう。誰かと会話し身体を動かす機会を増やせます。一人暮らしの高齢者が参加してみたいと思うようなイベントやレクリエーションを提供できれば、大阪の介護保険を下げる手助けができるかもしれませんね。

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